2010年3月29日月曜日

日本にいると理解しにくい日本の教育問題

Max Weber

今更何をか言わんやですが、教育の問題は難しいですね。教育は「国家百年の計」といっても、日本にはどこに「国家」があるのか見つからないからです。

教育には国家意識というものが、建物の基礎工事のようにあるべきなのでしょうが、日本では「国家」ということをストレートに言うことが出来ませんね。 「国家は悪である、国家にはひどい目にあった、、、」。こういったイメージが終戦直後に形成されて、戦後民主主義教育に育まれ今に至っているからでしょうね。もう60年以上経っているのに。

日本国憲法は、前文にある「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会」を前提としています。ご存じのように、これは占領軍の最高司令官であるマッカーサーの理想論ですね。人間なんてまだまだ愚かで、21世紀になっても国際社会は日本人が考えるほどパラダイスでもユートピアでもないのです。

マックス・ウェーバーは、「国家とは、或る特定の地域の内部で正当な物理的強制力の独占を要求する人間共同体である」と言いました。これは、特殊でも極端な考え方でもなくて、現代の国際社会でも常識です。ソ連が崩壊し冷戦はなくなりましたが、衰退したアメリカと発展する中国の超リアリスティックなつばぜり合いを見ても分かります。

ウェーバーの言う「正当な物理的強制力」とは、国防と警察のことです。「人間共同体」とは、自分の住む或る特定の地域を愛する人たち、我々の場合は日本人ですね。つまり、郷土愛です。郷土愛の集合体、これが愛国心になるわけです。防衛と警察が暴走しないために、国の基本法である憲法や法律があります。したがって、防衛、国内治安としての警察権力、そして憲法がそろって国家になるのです。

アメリカの保護国で在り続けることを利用しながら、対等なパートナーシップ、日米関係を声高に主張するのは道理が通らないですね。 アメリカだけでなく、国際社会はみんなそのことを承知しているのです。だから、日本は国際社会でなかなか相手にされない。

私は学校の先生でもなく、政治家でもありません。たまたま日本を離れていた時間が長かったのでこのように感じるのだと思います。 教育問題を真面目に考えると、「日本人の国家意識の欠如」という大きな壁にぶちあたってしまいます。

親の責任を考えることもなく子ども手当に依存しようとするのは、保護国であることを利用しながらアメリカに対等なパートナーシップを求める日本政府の姿勢とよく似ていませんか?

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4 件のコメント:

  1. 私はカリフォルニアに14年住んでいる結構過激な日本人かもです。いつもこのブログ興味深く見させてもらっています。郷土愛、愛国心というと了見が狭いという一般認識で、友愛、人類愛がそれに勝るというのが日本での常識ですよね。昨今の沈みかけている、または沈んでしまった日本人としてそこまで跳んじゃうのは正解か考えてみました。
    日本は高齢化、若年人口減少、産業競争力衰退、科学技術学問文化停滞、財政赤字増大、ばら撒き社会主義的子供手当て、奇怪な犯罪増加、自民党時代に輪をかけた政治崩壊混乱、内閣による国防の義務放棄(安保での基地提供義務放棄)、総理などの脱税、外国人と日本人の参選権無差別化などなどが急速に進みつつありこれまでの戦後65年と全く異なる段階へ急転しているように見えます。脳死状態の自民党歴代政権が維持はしていた日米安保下での世界史上稀に見る安定した、産業界の努力だけで謳歌できた平和は早晩終焉を迎えると思います、ていうか、もう終わってるですよね。これからが一番どうしていくか考えないといけない時なのに今の政府はひどすぎますね。首相を始め論理的演繹能力欠如、無責任さ、想像力の欠如、無節操さ目を覆うばかりです。(空想はしてますね、世界連邦やピースボートや何の裏づけも取らないCo2削減目標など)

    私は国粋主義者ではありませんが、日本を離れて日本とその教育を感じた事を書けば以下のようです。今日本語、日本の国がなくなって、難民になったと想像してください。海外に一人で出るとちょっとだけそういう気分になれます。いかに自分が無力か、自分の存在が日本に依存してたかよくわかりますよ。日本語、日本の文化、常識なんて世界の超マイノリティー。はなから無視してバカにする御仁多数、興味あってもエキゾティックだからまたは大いに誤解しているからがほとんど。その中で普通に生きていける人は日本でも相当才能実力のある人か日本に根っこがある仕事をしている駐在員またはその類似だけです。プロ野球だってあのプレースタイルが合ったイチローだけでしょ、本質的には。だから、国とか民族といったら大げさだけど日本のようなホモジニアス島民にとって日本という国はゲゼルシャフト(懐かしい、、、高校倫理社会)と言うよりゲマインシャフトだって思ういます。だから世界と仲良くするのと同時に日本をよくすることを真剣にそして戦略的に考えないとヤバイですよ。日本がなくなって生きていかれる日本人は多分標本用とイチローみたいな人だけですよ。日本の戦後の教育は肝心な点が抜けていますね。

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  2. 素晴らしいコメント、有り難うございます、「仰るとおり」としか言いようがない。

    日本人は列島の中で日本人だけで生きていくのが幸せなんでしょうね、たぶん。日本で、アメリカや近隣諸国に関するニュースやコメントを見たり聞いたりしていると、あまりにもノー天気なものが多く驚くばかりです。

    中国にしても、このままいくとマズイと思ったから、共産党独裁の中で超資本主義に走った。それが上手くいったので大きな問題を含みながらでも発展している(リーダーが賢いのか?)。

    日本は熱狂的な大衆運動のように政権交代がおこり、急速な社会主義化が起っているようですね。戦後60数年、戦後体制の完成型なのか(占領軍による日本の無力化)、末路なのか(日本の自滅)、とにかく来るところまで来たという感じです。

    私の帰国は6ヶ月前、ちょうど政権交代と重なっています。日本はすごいことになっている。無責任の極みです。総理が宇宙人だとか、民主が無能だとか自民の長年の政治が悪だったとかもあるでしょうが、日本人の一人一人に責任があるのだと思います。

    今の日本は幕藩体制まで時代を戻そうとしているのかも知れない、、、。地域主権という意味不明なスローガンの下に。

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  3. おふた方のコメントに大変に共感しました。私は、この時期に今の政府が政権を取った事が、大変にタイミングが悪いと思っています。今回の経済収縮の修復には、過去に例がないくらい政治が強く関与し、各国は保護主義の色を濃くしています。確実に外交の緊張感が高まっているこの時期に、沖縄の基地問題を再燃させ、ばら撒きで公的な国の借金を積み上げ、更にその受け皿を郵政で賄おうとする政府では、間違いをおかしています。
    インターネットを見ていると、気がついている人は少なくない様です。今のリーダーが今後選ばれない事を期待します。

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  4. 国民の大半は自民党がある意味ダメすぎだったので2大政党制を期待して政権を交代させたんでしょう。でも自民党が維持してきていたベースも、もっとダメな連中が壊してしまったようです。私は仕事柄日本の会社のお偉いさんの評価をアメリカのお偉いさんがどういっているか聞いてしまうことがありますが、相当に手厳しいですよ。ラテンアメリカの次に話ししたくないといっています。なにせ学歴で言えばその頂点の首相がワシントンでは最も劣悪品質と認定されているのでしょうから(そこまでは直接は聞いていませんが、これまでの成り行きから当然過ぎるほどわかります。Trust meもそうだし、別の国際会議でのクリントンとの雑談を勝手に解釈してメデイアに都合よく流したり。それ以上に毎日言う事が変わっていますね。これが彼の学んだORなんですかね?やっちいとしかいいようがないですね)。
    亀井さんと管さんの争いを聞いていても、管さんたちがいかに政策おんちだけど、ヘンナののしりあいだけは鍛えられている野党体質が染み付いているのがよくわかります。前原さんは政権与党でありながら、自民党には言われたくないといて国会の中を走り回る学級崩壊児童です。亀井さんも強引だけど、一貫性はありそうですが(賛成はしてないですよ)反小泉改革の亡霊みたいですね。なんか政治の事ばかり書きすぎでいかんですね。僕が言いたいのは日本の常識は世界の非常識、特に最近は中身がばれちゃったから相当バカにされています。もっと恥ずかしくないようにアイデアも戦略も練って出さないとまずいです。これは民間企業レベルから政府間のことまで同時に起こっていると思われます。

    しかし今の日本の政権は余りに恥ずかしいですよ。

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